第17回 腸内の「悪玉菌」が腐敗物質を作り出す
最近の日本人のように腸内の善玉菌のえさとなる食物繊維の摂取が減って消化の悪いタンパク質や脂質の摂取が増えると、消化を助ける腸内の善玉菌が減る一方、腸内に滞留したタンパク質や脂質をえさにする悪玉菌が増殖してしまいます。
そして、増殖した悪玉菌は腸内の滞留物を発酵させて、さまざまな腐敗物質を作り出します。たとえばタンパク質は体内でアミノ酸に変わりますが、悪玉菌はこのアミノ酸を腐敗させて悪臭物質であるアンモニアを作り出すのです。
さらに、悪玉菌はアンモニアにくわえて、インドール、スカトール、硫化水素、トリプトファン、フェノール メチルメルカプタンなどの腐敗物質を滞留物から作り出し、そこから悪臭を放つ有毒ガスが発生します。
これらの腐敗物質は腸壁から吸収されて血液中に入り込み、門脈を通って肝臓へと送られます。通常の健康な肝臓は血液からこれらの腐敗物質を分別して排泄する役割を果たしていて、たとえばアンモニアは肝臓で尿素に変えられて腎臓から尿とともに体外に排泄されるのです。
しかし、なにかの原因でこうした肝臓の働きが弱まると、腐敗物質を分別する機能が低下。アンモニアが血液から分離されずに血流に乗ったまま心臓から全身へと回り、体内を巡ることになって、体中の血管や細胞に腐敗物質が溜まってしまいます。
次回は加齢臭のメカニズムについてさらに詳しくご説明しましょう。