第13回 年をとると、腸も年をとる
中年男性の悩みのタネである加齢臭を生み出す「腸の汚れ」。
その数ある原因の中でも見逃せないのが「加齢」です。人間の腸は年をとればとるほど、老化してゆきます。当たり前と言えば当たり前のことですが、腸壁の粘膜や筋肉は20代をピークに次第に弾力性を失って萎縮してゆくのです。とくに排泄にかかわる直腸や下行結腸の弾力性が低下すると、排泄能力が衰えて便が出にくくなってしまい、高齢者の多くが慢性の便秘に悩んでいるといいます。
くわえて、年をとると腸を司る神経細胞の数も減少してしまいます。その結果、腸のセンサー機能が低下して、消化物に対する腸の筋肉の反応が鈍くなってゆきます。そして、こうした老化現象によって食物を消化する力が落ちてしまい、未消化物が腸内に滞留。腸が汚れてしまうのです。この加齢によって腸が汚れるという事実は、加齢臭と腸の汚れの間になんらかの関係があることを示唆しています。
 腸が汚れる原因のもう一つは「排便習慣」です。忙しい現代人は、朝ゆっくりと便を出す時間もないまま出勤や通学せざるをえません。さらに会社や学校でも便を出す機会がなかなかないため、定期的な排便習慣を持つことができないという悲しい現状。排便は便意をもよおしたときにするのが一番なのですが、自然に便意をもよおすのは一日に1-2回くらいしかないため、現代人はそのチャンスを逃してしまいがちなのです。そして、いつも便意を我慢することで次第に直腸肛門反射(直腸に便が入ることで肛門が排便に備える反応)がなくなってしまい、慢性の便秘になって腸の汚れが悪化してゆくのです。
 次回は腸を汚す思わぬ悪習慣についてご説明しましょう。