第14回 夜食が知らぬ間に腸を汚す
加齢臭を生み出す「腸の汚れ」の原因には加齢や排便習慣をはじめとするさまざまなものがありますが、現代人の「不規則な食習慣」も腸を汚す大きな原因となっています。
腸をはじめとする器官は、脳ではなく「自律神経」という神経によってその働きを司られることで黙っていても機能してくれています。たとえば食べ物が胃に入ると反射的に自律神経のうちの副交感神経が働き、胃結腸反射(胃から腸に排便を促す反応)が起こって腸のセロトニン(神経伝達物質)を刺激、セロトニンが腸に命令して自然にぜん動運動が始まり、便が直腸へと運ばれてゆきます。さらに、わたしたちが寝ている間もモリチンというホルモンが出て知らぬ間に消化を行ってくれています。
腸は腸を司る自律神経の影響を受けやすい器官ですが、この自律神経の働きに重要な役割を担っているのが「体内時計」です。自律神経は交感神経と副交感神経からなっており、状況に応じて切り替わりますが、この自律神経の切り替えに人間の体の中にある「時計遺伝子」がかかわっているのです。
たとえば朝になって朝日を浴びたり、朝食を食べたりすると、脳の中枢の時計遺伝子や腸にある抹消時計遺伝子がリセットされ、一日のリズムを刻み始めます。交感神経と副交感神経は12時間ごとに切り替わっているといわれ、朝は交感神経が優位になり、体や心も活発になって一日の活動を支えます。交感神経はお昼過ぎがもっとも活発といわれ、その後夕方頃から次第に副交感神経が優位になって真夜中にもっとも活発になります。
こうした規則正しい生活のリズムが自律神経のバランスを保っているのですが、忙しい現代人は残業などで夜遅く夕食を食べることも多く、なかなか規則正しい生活リズムを守ることができません。
ヒトは食事をすると交感神経が高まりますが、夜遅く食べると夜間に交感神経が高まってしまい、この時間に行われるはずの副交感神経への切り替えがうまく行われません。結局、交感神経が高く副交感神経が低いまま眠りにつくことになり、腸の働きが低下して消化が十分に行われず、未消化物が腸内に停滞してしまうのです。
このようにわたしたちが陥りがちの不規則な生活が腸を汚す大きな原因となっているのです。
次回は腸の汚れを引き起こす怖い生活習慣についてお話ししましょう。