第10回 なんで中高年だけが臭いのか?
加齢臭の隠れた犯人「活性酸素」!
さまざまな疾患や老化を引き起こすばかりか、「加齢臭」の原因にもなっている活性酸素ですが、わたしたちの体もやられてばかりはいません。実はヒトの体内には活性酸素を除去する働きが備わっていて、スーパーオキサイド・ディスムターゼ(SOD)などといった「抗酸化酵素」が体内で発生する活性酸素を退治してくれているのです。
ところが、ヒトの体内の抗酸化酵素は加齢とともにその分泌量を減らしてゆき、たとえばSODは20代をピークに40代で約半分に減少。その後も10年に半分のペースで減っていってしまいます。その結果、天敵がいなくなった活性酸素が勢いを増して細胞をどんどん酸化することで、病気や老化が起こりやすくなってしまうのです。
勢いに乗った活性酸素はノネナールの基である「脂肪酸」も酸化してしまいます。40歳を過ぎると加齢臭が発生するのは、体内の抗酸化酵素が40歳を過ぎて急激に減少したため、勢いを得た活性酸素が脂肪酸の酸化を強めることでノネナールの発生が増加するからだったのです。さらに、40歳を過ぎるともう一つのノネナールの基である「9ヘチサデシン酸」の分泌量も増加するため、さらに加齢臭が発生しやすくなってしまいます。
一方、若い人は皮脂の分泌量が多く、とくに思春期は「ニキビの季節」ともいわれるほどニキビの元となる皮脂の分泌量が多い年代です。しかし、皮脂の分泌量が多いのにもかかわらず彼らに加齢臭が発生しないのは、若い人のほうが活性酸素を退治する抗酸化酵素の分泌量が多く、脂肪酸が酸化されて過酸化脂質に変えられにくいためなのです。
若い人が羨ましい?ホント歳は取りたくないですよね。
次回は活性酸素以外のもう一人の加齢臭の犯人についてお話ししましょう。